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執筆者の写真makcolli

ツノガエルの保温について 一


今回から数回にわたって、ツノガエルの保温方法に関することを書いてみたいと思います。


ツノガエルを飼育する多くの人にとって、最大の難問になるのが、この保温ではないでしょうか。このように書く私も、この保温方法によって失敗をしてしまい二匹、ツノガエルを殺してしまいした。 このような失敗体験も踏まえつつ、ツノガエルの保温方法を書いていきたいと思います。


そもそもなのですが、ツノガエルにはなぜ保温が必要なのでしょうか。

ツノガエル飼育の入門書やサイトなどを見てみると、ツノガエルを飼育する適温は22度から28度前後と説明されていることが多いです。


では22度を下回っていくとツノガエルは、どうなるのでしょう。まず餌を食べなくなります。この習性を理解するには、ツノガエルをはじめとする両生類の身体の構造を理解する必要があります。


人間をはじめとする哺乳類には、自律神経があって、平均体温を常に一定に保てる能力があります。しかし、両生類は気温が上がれば、体温も上昇し、気温が下がれば、体温も下がるという特徴を持つ変温動物なのです。


体温が下がれば身体の代謝も低下し、食欲もなくなります。

多くのツノガエルが見せる、いわゆる「拒食」というものも、この気温の低下とそれに伴う身体の代謝の鈍りからきていると思います。


しかし、これは病気ではありません。両生類が自らの生命を維持するための本能なのです。


もう少し視野を広げて考えてみると、日本に生息するカエルや爬虫類になってしまいますが、亀や蛇なども気温が下がってくると冬眠状態に入るのは同様の現象と言えます。

両生類は気温が下がれば、餌を捕食しなくても身体を維持できるモードに入るのです。


ですが原産地が南米であるツノガエルの場合、冬眠をする習性があるとは思えません。しかしツノガエルを飼っている人の中には、あえてツノガエルを冬眠させて、冬場を乗り切っている人もいるようです。


その場合はケースの中に土を入れツノガエルを地中に潜らせます。するとツノガエルは身体の周りにコクーンという繭を作って、一冬を越すようです。


しかし、この方法に自信がなく、ツノガエルが乾涸びて死んでしまったら嫌だ、と思った私はあくまでも、保温によって冬場を乗り切る方法にすることにしました。



そこで取り入れたのがパネルヒーターによる保温方法です。

ツノガエル飼育の入門書やサイトなどを見ると、保温器具としてまず紹介されているのが、このパネルヒーターです。


しかし今現在の私の考えからすると、パネルヒーターは限定的な保温器具に思えます。 簡単に人間に当てはめて考えることはできないのですが、ケースの底面で使用するパネルヒーターの保温だと、お腹はあったかでも背中は素っ裸のような状態で、ツノガエルの身体全体を保温することはできません。


それでもパネルヒーターによる保温方法しか思いつかなかった私は、パネルヒーターを使い続けました。しかし当然のことながら、飼っているベルツノは餌を食べてくれません。

そこで私は強制給餌という手段に出ました。ベルツノの口を無理矢理開いて、そこへファジーマウスを入れたのです。それから程なくして、そのベルツノは死にました。

身体の代謝が下がっていたところへ体内に餌が入ってきたので消化不良を起こしてしまったのです。


消化不良を起こしたベルツノの身体は、ガスが溜まってパンパンに膨れ上がっていました。

有名ブリーダーのNuanceさんから買った赤ベルだったので、勿体なかったですし、何よりかわいそうなことをしてしまいました。


これは実際にやってしまった私だから書くのですが、強制給餌は死に直結するとても危険な行為であることを認識しておいた方がいいでしょう。

ですが、変温動物とか気温の低下によって食欲が低下するなどのことを知らなかった私は、何週間にも渡って餌を食べないベルツノに危機感を抱いてしまい、その結果強制給餌を行ってしまいました。

その頃の私はペットを飼うことの意味や生命の大切さを分かっていなかったのかもしれません。


また余談になるのですが、ツノガエルの怒り喰いというのがあります。餌を食べなくなったツノガエルの口元や顎に、ピンセットで餌を持っていきグリグリやって怒らせ、無理矢理食べさせるというものですが、これは繰り返すとピンセットそのものに、ツノガエルが恐怖心を感じるようになるのでやめた方がいいでしょう。



話をもとに戻します。しかし私のパネルヒーターによる失敗は、これだけでは終わりませんでした。

次にペパーミンントツノガエルを飼ったのですが、この個体も同様にパネルヒーターによる保温を行っていました。

あまり記憶が定かではないのですが、四月か五月ぐらいで気温がそれなりに上がってきたものの、ヒーターを外すにはまだ早いという時期に、ヒーターが加温をし過ぎてしまいケースの底面が35度以上ぐらいになった結果、ペパーミントは体温が上がり過ぎて死んでしまいました。


このペパーミントもNuanceさんから購入した個体で、とても気に入っていたのですが、残念な結果になってしまいました。


これは後から知ったことなのですが、パネルヒーターを使用する際は、ケースの底面全部に敷くのではなくて、二分の一か三分の一程度がちょうどよく、温度が上がり過ぎた場合にツノガエルが逃げられるスペースを作っておくことが大事なようです。

しかし私の使っていたパネルヒーターの名前が、「ピタリ適温」というのも何か皮肉な感じがしました。多くのパネルヒーターには、サーモスタット機能がついていないため、逆に温度が上がり過ぎる危険性もあります。


この失敗によって私は、ツノガエルを飼うことをやめていました。自分はツノガエルを飼うのには向いてないと思い、また同じ失敗を繰り返してしまうのは嫌だと思ったからです。


しかし数年すると、またツノガエルを飼いたいという気持ちが強くなってきました。特にヤフオクに出品されているツノガエルを見た時に、その思いは強くなり、一匹のクランウェルを入札しました。


それが現在飼っている個体です。とにかく、この個体だけは天寿を全うさせてあげたい、途中で失敗することなく飼ってあげたい。

その思いが強くあり、初めての冬を迎える前にネットを検索したりして、何か有効な保温方法がないかと調べ考えました。


次回はその結果、現在私が行っている保温方法を紹介したいと思っています。

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