makcolli2019年2月25日読了時間: 15分愛のきずなアダルトグッズ屋、いや大人の玩具屋、いやドリームサロンと書けば通じるだろうか。 東宝映画『愛のきずな』に出演するところの藤田まことは、アダルトグッズ屋に行けば、必ずポイントカード、もしくは割引券を提示するような、すべてにおいて計算高い、そしてケチな男であった。...
makcolli2019年1月17日読了時間: 8分高校生番長 深夜放送某日。ラピュタ阿佐ヶ谷でレイト特集中だった「大映ハレンチ青春白書」を観に行く。今回の一本は『高校生番長 深夜放送』(70年)。 昨今はネットと言う便利なツールによって、多くの若者がコミュニケーションを取っている時代であるが、70年代にはラジオの深夜放送が若者にとって、自身を...
makcolli2018年12月30日読了時間: 10分黄線地帯最近はあまり、いつもいく映画館で自分の感度に反応する特集がない。 ということで、ケーブルテレビに加入しているので、チャンネルネコや日本映画専門チャンネル、東映チャンネルなどで録画した作品を見ている。 しかし録画したDVDは山のように積まれ、果たして一生かかってもこれだけのタ...
makcolli2018年12月6日読了時間: 12分天使のはらわた 赤い教室ブルーフィルム上映会。 今では完全になくなってしまったものだが、蟹江敬三は退屈しのぎに、そのブルーフィルム上映会に参加していた。 だが蟹江敬三は途中から退屈しのぎどころではなくなってしまう。 タイトルバックを含めた冒頭。...
makcolli2018年11月25日読了時間: 14分極悪坊主 人斬り数え唄1968年。つまり半世紀前。 音楽界においては、ビトールズの『ホワイト・アルバム』、ローリング・ストーンズの『ベガーズ・バンケット』、ザ・バンド『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』、ジミ・ヘンドリクス『エレクトリック・レディランド』というのちに傑作と呼ばれる作品が矢継...
makcolli2018年11月14日読了時間: 15分極悪坊主「坊主、殺しゃあ七代祟るってな」 これは100年後の日本にも遺しておきたい名言である。 その言葉を発したところの若山富三郎は、東映映画『極悪坊主』にて、破戒僧真海を演じ、女郎屋で女郎のへそに酒を注ぎ、さあこれからいただきます、というところに辺りを取り仕切る鬼頭組の連中が、助...
makcolli2018年10月26日読了時間: 10分天使のはらわた 赤い淫画女は怯えていた。帰宅途中につきまとってくる影に。 逃げこむように自身のアパートに入ると、女はカーテンの隙間から窓の外を見たが、そこに人影はなかった。 こたつに入りリラックスする女。次第に甘い吐息を漏らし始める。 こたつの中、真っ赤に染まった世界で女はパンスト越しに自身の淫部...
makcolli2018年10月15日読了時間: 15分尼寺(秘)物語イービルという言葉がある。悪を通り越して、邪悪、よこしまな悪とでも言おうか。 「グッフフフフフ」 東映映画『尼寺(秘)物語』では、全編において若山富三郎の邪悪な笑い声が響いている。地獄の釜の蓋から漏れ聞こえてくるような含み笑いが。...
makcolli2018年9月15日読了時間: 13分新いれずみ無残某日、ラピュタ阿佐ヶ谷でレイト特集中の「盛り場最前線 男と女のブルース」における『新 いれずみ無残 鉄火の仁義』(68年)を観てきた。 最近のラピュタにおけるレイトショーは、俺にとって感度抜群である。夜の盛り場にうごめく男と女の悲喜こもごも。歌謡曲に乗って、演歌に乗せてモン...
makcolli2018年8月31日読了時間: 5分不連続殺人事件Twitterで感想をポチッと呟けば事足りる、そんなもんな映画である。実際、それで終わらせようとした。 が、YouTubeで検索したら予告篇がアップされていて、取って返したようにある程度まとまった文章を書こうと思った次第である。...
makcolli2018年8月23日読了時間: 15分スクラップ集団傑作はいついかなる時、どの方角からやってくるか分らない。だから映画を観るのは、やめられない。 九州の現在では使われなくなったボタ山が、寂しく町を見下ろす中、スト続行中の幟を立てた何台ものバキュームカーが道路を疾走してゆく。...
makcolli2018年7月13日読了時間: 11分血と砂某日、ラピュタ阿佐ヶ谷の「伊藤雄之助特集」における『血と砂』(65年)を見てきた。 戦争末期の北支戦線。上官を殴ってばかりいる問題曹長の三船敏郎と、音楽学校を出たばかりの軍楽隊の少年兵たちがいた。 この少年兵たち。軍楽隊なのだが軍歌は演奏せず、「聖者が町にやってきた」とかを...
makcolli2018年6月2日読了時間: 12分二百三高地DVDに録画してあった映画『二百三高地 愛は死にますか』を見た。公開は1980年。さすがに任侠・やくざ映画も下火になり迷走していた東映が戦争大作路線に活路を見出そうとした作品である。 日露戦争の激戦地であった旅順攻防戦を巡っての人間ドラマが描かれているが、公開当時は朝日新聞...
makcolli2018年5月7日読了時間: 10分銀蝶流れ者 牝猫博奕東映の首脳陣は、尾上菊五郎を心底怨んだに違いない。 看板女優の藤純子を「取られた」からだ。そんで寺島しのぶが生まれた訳だが、とにかく岡田茂はじめ、東映の首脳陣は尾上菊五郎を心の底から怨んだに違いない。 その頃、日活はロマンポルノへ方向転換寸前。スタッフや監督たちの多くは、そ...
makcolli2018年5月6日読了時間: 14分銀蝶渡り鳥梶芽衣子の代表作と言えば、何を思い浮かべるであろうか。 「女囚 さそり」、「野良猫ロック」、「修羅雪姫」、あるいは増村保造監督による『曽根崎心中』を挙げる者もいるかも知れない。 しかし、コアな梶芽衣子ファンにとって忘れられない作品がある。それは日活から東映に移籍しての第一弾...
makcolli2018年3月17日読了時間: 9分安藤昇のわが逃亡とSEXの記録シュールレアリズムという言葉がある。日本語にすれば、超現実主義ということだ。 自らが引き起こした事件を、自らが映画の中で再現する。ある意味で超現実主義なのではないか。 『安藤昇のわが逃亡とSEXの記録』は、昭和33年当時、安藤組組長であった安藤昇が実業家、横井英樹(のちにホ...
makcolli2018年3月10日読了時間: 15分日本悪人伝 地獄の道づれ若山富三郎主演『日本悪人伝』の続編、『日本悪人伝 地獄の道づれ』である。 大正12年。 神戸の港に停泊しているウンコ船の中で、若山富三郎(以下、トミー)は、港湾労働の連中と手慰みの賭場を開いていた。 そこへ雪崩れ込んでくる警察。 「サツやーっ!」...
makcolli2018年3月3日読了時間: 7分玄海遊侠伝 やぶれかぶれ某日。シネマヴェーラの「マキノ雅弘特集」における『玄海遊侠伝 破れかぶれ』(70年)を見てきた。 主演は勝新で、マキノ雅弘監督が勝新をどう料理するのかという点を注目して見ていたのだが、70年における勝新はまだそれほどぶっ飛んでいなくて、マキノ雅弘が描き出すこてこての様式美の...
makcolli2018年2月22日読了時間: 17分遊び1971年。大映は倒産した。 同時期、東映は実録やくざ映画前夜。加えて「温泉芸者」シリーズ、鈴木則文の「女番長」シリーズなどで、そのアナーキーな魅力をスクリーンに放出していた。 日活も経営的危機にあったが、逆にそれが力となり、「日活ニューアクション」と呼ばれる作品群が連発さ...
makcolli2017年11月30日読了時間: 13分拝啓 総理大臣様その映画はこのようにして始まる。 長門裕之演じるところの東京ムーランは、その妻ルージュと当世流行りの垢抜けた夫婦漫才を繰り広げるところの「拝啓 総理大臣様」というレギュラー番組を持っていた。 だがこの東京ムーランこと長門裕之は、大阪は釜ヶ崎にて釜ヶ崎村という、完全に時代から...