makcolli2017年6月8日読了時間: 6分啞侍 鬼一法眼見世物趣味というものがある。 見世物趣味がゆえに、見てみたいと思うものもある。 若山富三郎主演、テレビ時代劇「啞侍」が、それにあたる。なにしろ若山富三郎演じるところの主人公は、聾唖者でしゃべることができない。 会話のやり取りもジェスチャーか筆談を用いるしかない。...
makcolli2017年6月5日読了時間: 9分賞金稼ぎ某日、池袋新文芸座にて特集中の、「勝新太郎VS若山富三郎」のなかの若山富三郎(以下トミー)主演作『賞金稼ぎ』(69年。小沢茂弘監督)を観に行った。 勝・若山兄弟に関しては東映命の俺としてはどうしても、トミーのほうに肩入れしてしまう。『不知火検校』から「座頭市」シリーズ、「兵...
makcolli2017年5月28日読了時間: 11分妻二人某日、近代美術館フィルムセンターで行われていた増村保造監督回顧特集のなかの、『妻二人』を見に行く。 野球のオールスターゲームが面白くなるとは限らない。すごいテクニックを持っているメンバーだけのバンドが面白いとは限らない。...
makcolli2017年5月28日読了時間: 7分青春の門結論から書く。だれている。ぶれている。 81年の東映作品にはいかに監督が深作欣二だろうと、菅原文太や若山富三郎が出てこようとも、70年代のようなアナーキズムは存在していなかった。 しかも原作が五木寛之の文芸もの。東映が一番苦手とする分野である。70年代の終わりと共に実録やく...
makcolli2017年5月22日読了時間: 6分でんきくらげ某日。神保町シアターの特集、「監督と女優 エロスの風景」の『でんきくらげ』(70年。増村保造監督)を観に行く。 70年。大映も末期症状を呈していた。末期症状=エロ路線へのシフトはお決まりのコースで、日活はそのままロマンポルノに突入した。...
makcolli2017年5月15日読了時間: 6分河内のオッサンの唄76年。ミス花子というおかしな名前の歌手の、「河内のオッサンの唄」という曲がヒットしていた。 時あたかも、東映の大部屋俳優達の中でも、一癖も二癖もあり、個性の塊としか言えない男たち、ピラニア軍団ブームが到来しつつあった。ふたつの時代の波を東映が見逃すはずはなかった。...
makcolli2017年5月15日読了時間: 7分ピラニア軍団 ダボシャツの天某日。銀座シネパトスにて特集上映中の「川谷拓三映画祭」に行ってきた。ちょうど、『3000回殺された男 拓ボンの体当たり役者人生』を読了したので、グッドタイミングだった。 第一ラウンドは『ピラニア軍団 ダボシャツの天』(77年。山下耕作監督)と、『狂った野獣』(76年。中島貞...
makcolli2017年5月13日読了時間: 10分尼寺博徒「名前負け」という言葉がある。 東映映画『尼寺博徒』が、まさにそれであった。当初は主演にして尼を演じる野川由美子が、尼のハゲ頭に諸肌脱いで、仁義を切ったり、ドスを振り回したりするんだろう、と当然予想していたのだが、何か作品全体はそつなくまとめられているという感じ。...
makcolli2017年5月7日読了時間: 4分ゴーゴー向こうみず作戦数あるGSバンドのなかでも、スパイダースは主演映画を多く残したほうだが、これが主演第一作とは知らなかった。 冒頭は大磯ロングビーチにて、ヤング&フレッシュをバックに歌う松原智恵子のシーンにて始まる。松原智恵子の水着姿は貴重かも。...
makcolli2017年5月2日読了時間: 4分帰ってきたヨッパライ68年。フォーク・クルセイダーズは時の人だった。 そのフォークル・ブームに当て込んで製作された映画が、『帰ってきたヨッパライ』だと思うのだが、当時フォークル目当てに映画館に足を運んだ人の多くが、映画館を出る時、「訳分んなかった」という感慨を抱いただろう。...
makcolli2017年5月1日読了時間: 9分ボディガード牙なんでこの映画、海外で公開されたの? 映画を観る時の姿勢として賭けというものがある。ギャンブル性というものがある。 ふたを開けてみなければ、吉と出るか凶と出るか分らないものがある。 特にプログラムピクチャーの場合、二週間に二本立てで興行が組まれていた訳で、玉石混淆合い混じる...
makcolli2017年4月26日読了時間: 7分緋ぢりめん博徒東映は焦っていた。本当に焦っていたんだと思う。 男の体臭100%と言える任侠映画に咲いた花一輪、藤純子の存在、人気、そしてその引退は当然、ドル箱スターを失うことを意味していた。 東映幹部は、めっちゃ尾上菊五郎を怨んだに違いない。...
makcolli2017年4月25日読了時間: 11分奇々怪々 俺は誰だ!?1969年。谷啓はトワイライトゾーン、もしくはアンドレ・ブルトンが提唱した超現実主義の中を彷徨っていた。 またはそれを、日活と円谷プロが提携して製作した「恐怖劇場 アンバランス」と呼んでもいい。 とにかく郊外の公営住宅に住む、恐妻家にしてうだつの上がらないサラリーマンの谷啓...
makcolli2017年4月25日読了時間: 9分黒い女豹M冒頭から千葉ち1974年。廃墟同然になっていた横浜赤煉瓦倉庫界隈を、池玲子は全力疾走していた。 そう東映の「女番長」シリーズや、「恐怖女子高校」、「温泉芸者」シリーズなどの併映B級路線で、グンバツのパイオツを惜しげもなくさらし、一時代を築いた池玲子である。...
makcolli2017年4月25日読了時間: 12分濡れた荒野を走れかつてチイチイと呼ばれた男がいた。その男は、「ちい散歩」なんていうテレビ番組をやっていて、その晩年は好々爺のような姿を見せていた。 そう。その男とは、地井武男のことである。 だが仮に70年代に地井武男のことを、チイチイなんて呼んだ日にゃ、半殺しの目に遭ったことだろう。それく...
makcolli2017年4月25日読了時間: 22分強盗放火殺人囚ディープ&ストロング。つまり深く、強くとはこの映画のために用意された言葉である。 ムショに収監されている松方さんは、仮釈がほぼ決定的となり、面会にやってきた女房であるところのジャネット八田を前にして、テンションが上げ上げになっていた。...
makcolli2017年4月20日読了時間: 6分俺にさわると危ないぜ祐次郎か?旭か?と聞かれれば間違いなく旭だと答える。 リアルタイムではさすがに旭の映画は見ていなかったが、祐次郎に関しては「太陽に吠えろ」とか覚えていて、事件が解決するとなぜか祐次郎は、警察署のなかなのにブランデーとか飲んでいる人ぐらいの印象しかなく、死んだとき、なぜあそこ...
makcolli2017年4月20日読了時間: 4分乾いた花映画『乾いた花』を見る。ムショ帰りのやくざが、シャバに戻ってみると、状況は一変していて、というシチュエーションは、やくざ映画にはよくあるパターンである。 そのやくざが池部良。 さらに組長などの幹部は、すでに手打ちをしていて、自分がムショに行った意味までなんだったのか、それで...
makcolli2017年4月20日読了時間: 8分虹の中のレモン1968年。 海の彼方、イギリスでは、ローリング・ストーンズが主催者となり、 「Rock And Roll Circus」なるテレビ番組が企画され、製作された。 そこにはストーンズの他にも、ザ・フーやジョン・レノン、エリック・クラプトン、キース・リチャーズ、ミッチ・ミッチェ...
makcolli2017年4月19日読了時間: 9分浦賀の神社に関して灯台下暗しとはよく言ったものである。 ある日、なんの気はなしに横須賀の浦賀にある東叶神社のホームページを見てみたら、驚くべきことが記されていた。 江戸時代まで東叶神社は単なる神社ではなく、別当寺が管理している社で代々その別当は阿闍梨や僧正と呼ばれる僧侶としては、位の高い人間...