makcolli2019年10月22日読了時間: 12分暴力戦士腐っても石井輝男は石井輝男なのか。 1979年公開の東映映画、『暴力戦士』を観てその感を抱いた。 冒頭、神戸は六甲山で開催されたロックフェスに出演し、 「♫ああ 今 地獄のベルが鳴る」 と熱唱する石橋凌をボーカルとするA.R.Bが熱いステージを繰り広げる。...
makcolli2019年8月26日読了時間: 12分濡れた欲情 ひらけ!チューリップ俺なら某日の夜なら、確かにラピュタ阿佐ヶ谷のレイトショーで、芹明香主演『濡れた欲情 ひらけ! チューリップ』を見ていたのだ。 そして奇才・神代辰巳監督が織りなす映像世界に、完全に巻き込まれていたのだ。 神代辰巳は必ずなにかしかけてくる。これまで見てきた作品においても、ワンシ...
makcolli2019年8月19日読了時間: 14分としごろ松竹とホリプロの提携作品である。 ホリプロは和田アキ子を売り出すために、日活と提携して『女番長 野良猫ロック』という奇跡的にかっこいい作品を製作したこともある。 しかし、今度の会社は松竹である。とてもヤングの心を鷲掴みにするような、クールでヒップな作品を製作できるとは思え...
makcolli2019年8月16日読了時間: 16分花嫁吸血魔「狸映画を撮れ!狐映画を撮れ!各社が気取った映画を撮っているうちに、お化け映画を撮るんだ!」 この主張は非常にクールだ。新東宝社長、大蔵貢がこう言ったかどうかは分からぬが、まさに大蔵体制における新東宝は、今で言うところのモンド映画を量産していった。...
makcolli2019年8月5日読了時間: 8分でっかいでっかい野朗北九州、若松。洞海湾を望む高台にある墓地に、ともちゃんと住職がピンキーとキラーズの「恋の季節」を歌いながら登って行くと、そこに穴が掘ってあって、そこから地下足袋を履いた足が突き出ている。 「誰じゃい!おまえは!」 するとそれは頭がボブ・ディランのように爆発し、ニッカポッカを...
makcolli2019年5月9日読了時間: 13分甘い夜の果てコンプレックスにさいなまれるスケコマシ。それが松竹映画『甘い夜の果て』における津川雅彦の役どころである。 津川はファーストシーンにて、女とドライブをしていたが、その帰路事故が発生し渋滞にはまり、なかなか車が進まない。 そこでドライブインとも言えないボロ食堂で休憩していたが、...
makcolli2019年5月8日読了時間: 16分喜劇 一発大必勝若い頃の倍賞千恵子は可愛いし、綺麗だ。 その倍賞千恵子はバスの車掌をしていたが、そこへ佐藤蛾次郎、倍賞千恵子の父を含む四人組の男たちが乗り込んできた。 彼らは当時、まだ珍しかったカラーテレビの段ボール箱を持っていたが、墓場前というバス停で降りる拍子に、段ボール箱を落とし、そ...
makcolli2019年4月25日読了時間: 5分喜劇 女は度胸森崎東が演出する渥美清は、あんなにも凶暴なのだろう。 羽田、蒲田。京浜急行。工業地帯。そこに生きる電機工場の女工。町工場の青年。 新宿や本牧ではラリラリハレハレな時代が続いていたと思われるが、京浜工業地帯の若者たちは、歌声喫茶に集まり、岡林信康の「クソクラエ節」を熱唱するこ...
makcolli2019年3月11日読了時間: 17分肉体の門鈴木清順の映画については、ひとくさりもふたくさりも書いてみたいことがある。 最初、俺は清順の映画は難解でインテリ向けのものだと思っていた。だが、食わず嫌いはいけない。そう思って清順の映画を見始めた。『春婦伝』、『東京流れ者』、『河内カルメン』、『野獣の青春』、『殺しの烙印』...
makcolli2019年2月25日読了時間: 15分愛のきずなアダルトグッズ屋、いや大人の玩具屋、いやドリームサロンと書けば通じるだろうか。 東宝映画『愛のきずな』に出演するところの藤田まことは、アダルトグッズ屋に行けば、必ずポイントカード、もしくは割引券を提示するような、すべてにおいて計算高い、そしてケチな男であった。...
makcolli2019年1月17日読了時間: 8分高校生番長 深夜放送某日。ラピュタ阿佐ヶ谷でレイト特集中だった「大映ハレンチ青春白書」を観に行く。今回の一本は『高校生番長 深夜放送』(70年)。 昨今はネットと言う便利なツールによって、多くの若者がコミュニケーションを取っている時代であるが、70年代にはラジオの深夜放送が若者にとって、自身を...
makcolli2018年12月30日読了時間: 10分黄線地帯最近はあまり、いつもいく映画館で自分の感度に反応する特集がない。 ということで、ケーブルテレビに加入しているので、チャンネルネコや日本映画専門チャンネル、東映チャンネルなどで録画した作品を見ている。 しかし録画したDVDは山のように積まれ、果たして一生かかってもこれだけのタ...
makcolli2018年12月6日読了時間: 12分天使のはらわた 赤い教室ブルーフィルム上映会。 今では完全になくなってしまったものだが、蟹江敬三は退屈しのぎに、そのブルーフィルム上映会に参加していた。 だが蟹江敬三は途中から退屈しのぎどころではなくなってしまう。 タイトルバックを含めた冒頭。...
makcolli2018年11月25日読了時間: 14分極悪坊主 人斬り数え唄1968年。つまり半世紀前。 音楽界においては、ビトールズの『ホワイト・アルバム』、ローリング・ストーンズの『ベガーズ・バンケット』、ザ・バンド『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』、ジミ・ヘンドリクス『エレクトリック・レディランド』というのちに傑作と呼ばれる作品が矢継...
makcolli2018年11月14日読了時間: 15分極悪坊主「坊主、殺しゃあ七代祟るってな」 これは100年後の日本にも遺しておきたい名言である。 その言葉を発したところの若山富三郎は、東映映画『極悪坊主』にて、破戒僧真海を演じ、女郎屋で女郎のへそに酒を注ぎ、さあこれからいただきます、というところに辺りを取り仕切る鬼頭組の連中が、助...
makcolli2018年10月26日読了時間: 10分天使のはらわた 赤い淫画女は怯えていた。帰宅途中につきまとってくる影に。 逃げこむように自身のアパートに入ると、女はカーテンの隙間から窓の外を見たが、そこに人影はなかった。 こたつに入りリラックスする女。次第に甘い吐息を漏らし始める。 こたつの中、真っ赤に染まった世界で女はパンスト越しに自身の淫部...
makcolli2018年10月15日読了時間: 15分尼寺(秘)物語イービルという言葉がある。悪を通り越して、邪悪、よこしまな悪とでも言おうか。 「グッフフフフフ」 東映映画『尼寺(秘)物語』では、全編において若山富三郎の邪悪な笑い声が響いている。地獄の釜の蓋から漏れ聞こえてくるような含み笑いが。...
makcolli2018年9月15日読了時間: 13分新いれずみ無残某日、ラピュタ阿佐ヶ谷でレイト特集中の「盛り場最前線 男と女のブルース」における『新 いれずみ無残 鉄火の仁義』(68年)を観てきた。 最近のラピュタにおけるレイトショーは、俺にとって感度抜群である。夜の盛り場にうごめく男と女の悲喜こもごも。歌謡曲に乗って、演歌に乗せてモン...
makcolli2018年8月31日読了時間: 5分不連続殺人事件Twitterで感想をポチッと呟けば事足りる、そんなもんな映画である。実際、それで終わらせようとした。 が、YouTubeで検索したら予告篇がアップされていて、取って返したようにある程度まとまった文章を書こうと思った次第である。...
makcolli2018年8月23日読了時間: 15分スクラップ集団傑作はいついかなる時、どの方角からやってくるか分らない。だから映画を観るのは、やめられない。 九州の現在では使われなくなったボタ山が、寂しく町を見下ろす中、スト続行中の幟を立てた何台ものバキュームカーが道路を疾走してゆく。...