makcolli2017年8月1日読了時間: 5分落ち葉とくちづけ玉石混淆。有象無象たちがひしめきあっていたGSブームであるが、そのなかでもアルバムを出せるなんていうバンドはまだいいほうで、ましてや主演を張れる映画が作られるなんていうバンドはよほどラッキーだったんだと思う。 ヴィレッジ・シンガーズである。今ではほとんど再評価されることのな...
makcolli2017年7月31日読了時間: 8分男の顔は履歴書某日、渋谷シネマヴェーラで特集中の、「加藤泰傑作選」のなかの『男の顔は履歴書』(66年)を見に行く。 加藤泰と言えば時代劇や任侠映画で数多くの秀作、傑作を遺した職人監督、活動屋とも言える監督だ。 特に俺はやはり藤純子を大スターにした「緋牡丹博徒」シリーズが好きなのだが、この...
makcolli2017年7月24日読了時間: 11分家庭の事情大映映画の特徴のひとつとして、画面が重厚であるということがある。 それは増村保造にしてもそうだし、川島雄三にしてもそうでし、時代劇を得意とする三隅研次にしてもそうである。 だがそのなかでも特に絵画性を感じさせるのが、吉村公三郎である。...
makcolli2017年7月19日読了時間: 15分日本悪人伝血まみれの夢というものもある。 映画『日本悪人伝』のなかで、若山富三郎はその夢を体現化した。 昭和8年。初夏。 打ち続く不況の中で、若山富三郎は醤油を煮詰めたような服を着て、浅草界隈を彷徨っていた。 雑踏の中、おもむろに力士と肩がぶつかり、そのまま路上へ倒れる富三郎(以下、...
makcolli2017年7月18日読了時間: 13分ど根性物語 銭の踊りファーストシーンのワンカット目。ローアングルに構えた画面の奥から、ダンプカーがもの凄い勢いで疾走してくる。そのまま道路を渡っていたおっさんはひき逃げされた。 それを目撃した運転手である勝新太郎。猛然とダンプを追跡しはじめる。後部座席には客である船越英二が乗っているのだが、砂...
makcolli2017年6月16日読了時間: 6分穴 話はかなり入り組んでいる。 ルポライターであるところの京マチ子は、警察から入手した情報をもとに刑事であるところのSの不正を雑誌に掲載した。 ところがそれを読んだ菅原謙二は、イニシャルで書いてあるが、自分のことが書いてあると思い、雑誌社に乗り込み抗議した。...
makcolli2017年6月14日読了時間: 10分満員電車土砂降りの大学の卒業式。 しかも講堂が燃え落ちたために、学生、並びに職員は激しい雨に打たれている。 その中で式辞を読み上げる総長。 監督は市川崑。 モノクロの画面の中、傘を差して居並ぶ学生たちを映し出している。何かその画面にはリアリティーを感じる。...
makcolli2017年6月14日読了時間: 4分エロス+虐殺はやく終わんねえかなー。 見ている最中に、そう思う映画もそうざらにあるものじゃない。 吉田喜重監督作品『エロス+虐殺』(70年)は、大正時代の無政府主義者・大杉栄とその愛人、伊藤野枝、神近市子、さらに大杉の妻からなる四角関係を描いている。...
makcolli2017年6月8日読了時間: 6分啞侍 鬼一法眼見世物趣味というものがある。 見世物趣味がゆえに、見てみたいと思うものもある。 若山富三郎主演、テレビ時代劇「啞侍」が、それにあたる。なにしろ若山富三郎演じるところの主人公は、聾唖者でしゃべることができない。 会話のやり取りもジェスチャーか筆談を用いるしかない。...
makcolli2017年6月5日読了時間: 9分賞金稼ぎ某日、池袋新文芸座にて特集中の、「勝新太郎VS若山富三郎」のなかの若山富三郎(以下トミー)主演作『賞金稼ぎ』(69年。小沢茂弘監督)を観に行った。 勝・若山兄弟に関しては東映命の俺としてはどうしても、トミーのほうに肩入れしてしまう。『不知火検校』から「座頭市」シリーズ、「兵...
makcolli2017年5月28日読了時間: 11分妻二人某日、近代美術館フィルムセンターで行われていた増村保造監督回顧特集のなかの、『妻二人』を見に行く。 野球のオールスターゲームが面白くなるとは限らない。すごいテクニックを持っているメンバーだけのバンドが面白いとは限らない。...
makcolli2017年5月28日読了時間: 7分青春の門結論から書く。だれている。ぶれている。 81年の東映作品にはいかに監督が深作欣二だろうと、菅原文太や若山富三郎が出てこようとも、70年代のようなアナーキズムは存在していなかった。 しかも原作が五木寛之の文芸もの。東映が一番苦手とする分野である。70年代の終わりと共に実録やく...
makcolli2017年5月22日読了時間: 6分でんきくらげ某日。神保町シアターの特集、「監督と女優 エロスの風景」の『でんきくらげ』(70年。増村保造監督)を観に行く。 70年。大映も末期症状を呈していた。末期症状=エロ路線へのシフトはお決まりのコースで、日活はそのままロマンポルノに突入した。...
makcolli2017年5月15日読了時間: 6分河内のオッサンの唄76年。ミス花子というおかしな名前の歌手の、「河内のオッサンの唄」という曲がヒットしていた。 時あたかも、東映の大部屋俳優達の中でも、一癖も二癖もあり、個性の塊としか言えない男たち、ピラニア軍団ブームが到来しつつあった。ふたつの時代の波を東映が見逃すはずはなかった。...
makcolli2017年5月15日読了時間: 7分ピラニア軍団 ダボシャツの天某日。銀座シネパトスにて特集上映中の「川谷拓三映画祭」に行ってきた。ちょうど、『3000回殺された男 拓ボンの体当たり役者人生』を読了したので、グッドタイミングだった。 第一ラウンドは『ピラニア軍団 ダボシャツの天』(77年。山下耕作監督)と、『狂った野獣』(76年。中島貞...
makcolli2017年5月13日読了時間: 10分尼寺博徒「名前負け」という言葉がある。 東映映画『尼寺博徒』が、まさにそれであった。当初は主演にして尼を演じる野川由美子が、尼のハゲ頭に諸肌脱いで、仁義を切ったり、ドスを振り回したりするんだろう、と当然予想していたのだが、何か作品全体はそつなくまとめられているという感じ。...
makcolli2017年5月7日読了時間: 4分ゴーゴー向こうみず作戦数あるGSバンドのなかでも、スパイダースは主演映画を多く残したほうだが、これが主演第一作とは知らなかった。 冒頭は大磯ロングビーチにて、ヤング&フレッシュをバックに歌う松原智恵子のシーンにて始まる。松原智恵子の水着姿は貴重かも。...
makcolli2017年5月2日読了時間: 4分帰ってきたヨッパライ68年。フォーク・クルセイダーズは時の人だった。 そのフォークル・ブームに当て込んで製作された映画が、『帰ってきたヨッパライ』だと思うのだが、当時フォークル目当てに映画館に足を運んだ人の多くが、映画館を出る時、「訳分んなかった」という感慨を抱いただろう。...
makcolli2017年5月1日読了時間: 9分ボディガード牙なんでこの映画、海外で公開されたの? 映画を観る時の姿勢として賭けというものがある。ギャンブル性というものがある。 ふたを開けてみなければ、吉と出るか凶と出るか分らないものがある。 特にプログラムピクチャーの場合、二週間に二本立てで興行が組まれていた訳で、玉石混淆合い混じる...
makcolli2017年4月26日読了時間: 7分緋ぢりめん博徒東映は焦っていた。本当に焦っていたんだと思う。 男の体臭100%と言える任侠映画に咲いた花一輪、藤純子の存在、人気、そしてその引退は当然、ドル箱スターを失うことを意味していた。 東映幹部は、めっちゃ尾上菊五郎を怨んだに違いない。...